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NYU Stern Japan Business Association

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2007年 04月 11日

Restructuring Firms and Industries

Restructuring Firms and Industries_d0092324_1120624.jpg今回は、Stern内で有名なDavid Yermack教授のRestructuring Firms and Industries [PDFファイル]の授業に触れてみたい。講座名からはどんな授業か想像しづらいのだが、要は資本市場の構造や会社の(資本)構造に関するトピック(たとえばコーポレートガバナンス、M&A、Downsizing & Deconglomeration、PE)について幅広く扱うというもの。テキストは一応あるのだが、主に授業で使われる教材は新聞記事。軽妙な語り口で、次々と辛らつな意見を述べる教授の授業は聞いていて飽きることがない。特に今学期は大きな案件のニュースが次から次に出てきており(教授曰く、こんなに紹介する記事の多い学期は始めて、とのこと)、アメリカ国内のみならず国境を越えて起こっている、金融を利用した企業・産業再編の激しい動きが本当によく見て取れる。

この授業の面白いのは、経営者や投資家といった人物に焦点を当てながらケースを紹介していくところ。よく人の顔がスライドになって出ており、次々と個性的な経営者・投資家が紹介される。例えば、学期初め(2月の頭)にFree Cash Flow Theoryを扱う中で、95年のKirk Kerkorianと言う人とChryslerのケース(このときは会社が投資する宛てのないCash Flowを持ちすぎているのではないか、というもの)が紹介されたが、つい先週、授業の最初10分くらいを使って行なわれる「最近の動き」の中で、同じ人(現在90歳!)がChryslerの買い手として名乗りをあげているというニュースが紹介された。説明を聞いていると、それぞれの案件を理解する上で、プレーヤーやその人間関係を知っておくのがいかに大事か、というのがよくわかる。

ちなみに、この授業はこれまで学んだことの総まとめという性格を持っており、教授自身は最後の学期に取ることを推奨している。このようなカリキュラムの組み立てのおかげで、それまでに取った「コーポレートファイナンス」や「投資銀行論[PDFファイル]」の授業に対する復習ができ、理解がより深まった気がする。たとえばプレーヤーが同じでも扱う業務によって見方が違うこと(たとえば「投資銀行論」。投資銀行の立場に立っていろんなトピックを扱う)、トピックが同じでも別のプレーヤーからの視点で見れば全然違うこと(たとえば「金融機関の財務分析[Wordファイル]」。一口に金利リスク、といっても金融機関ごとに影響や分析の仕方が全然違う。)はよくあるが、授業の種類が多いおかげで、いろんな角度からの理解ができるようになっている。こういう点がSternのFinance面での強みなのかな、と思う。

MH

# by nyustern | 2007-04-11 11:20 | 授業
2007年 04月 10日

ブランドストラテジー

今日はBrand Strategyについて。教授はProfessor Gallowayブランドストラテジー_d0092324_12212816.gif頭を剃りこみ、ガタイのいいこの先生はクラスをひとつのアイランドとして聖域化している。つまり、この中では何をいってもOK。MarketingにRationalな解は存在せず、感情が支配するというのが口癖。オープンなクラス環境を作ることがいいインスピレーションを生み、よい議論に繋がるという考え。また”We are animals!”といのも口癖。その辛口と感情そのままに生きる姿にブランドストラテジーにかける意気込みを見るときがある。彼は3年前からSternのブランディングプロジェクトにも参加しており、具体的にはまた次の機会に説明したいが、他校をベンチマークにして様々な観点からビジネススクールのブランドを研究している。この度US NEWSでSternが前年13位から10位にランクを上げたのも彼を初めMarketing Departmentの教授達のブランド戦略が一助になっているかもしれない。SternはもちろんFinanceは極めて強く、差別化が効いているが、マーケティングも本当にいいモメンタムになっていると感じる。昨年一年間でMarketing Departmentから1人の教授も他の学校に動くことなく、一丸となってSternのMarketingの質向上に努力しているようだ。以前私が書いた記事のConsumer BehaviorやこのBrand Strategy, それからLuxury Marketing, Sports Marketingなど授業の質はすばらしいと同時にユニークである。
 さて、Brand Strategyに話を戻そう。Professor GallowayはUC BerkeleyのMBA出身。そこでブランドマーケティングの大家David Aakerに出会い、彼の教えをそのまま引き継いで、この授業のベースとしている。ブランドストラテジー_d0092324_12294764.jpg今日はブランドのロゴについて。Professor Gallowayは博士号などはもたずに、卒業後すぐに同級生らとコンサルティング会社を起業する。
以下インターネットブームに乗っていくつか起業。自分が設立した会社のロゴをベースにして議論を進めていく。ブランドはそのままだけど名前が命。こんなブランドがあったが、悲劇的な話しだ。彼は卒業後、Prophetというブランドコンサルティングを起業。このロゴについて皆さんどんな感想を持たれますか?
意図としてはFuture prospective, Look Forward, Globalなどの意味を込めたようですが、一部宗教的側面もみえるということはNegativeになったようです。
次に起業したのがインターネットを使ったペット商品販売会社を設立。18ヶ月で$1.5milで売却。続いてギフト会社911gift.comを設立。迅速に、Last minutesにでも間に合うようにプレゼントを届けるというコンセプトだった。(残念ながら両社ともに既に存在しないため、Webからロゴを見つけることが出来ず、すいません)ギフトの販売も順調であったが、ある日友人のWeddingにて911gift.comを使って花嫁にGiftを買ってもらった。そこに居合わせたGalloway教授はとんでもない場面に遭遇する。Fancyな食器セットをもらった花嫁は911gift.comのロゴをみて一言“911gift.com?? Last minutesに買ったのかしら?”(911はアメリカでの警察・救急番号)
この一言でGalloway教授はこのブランドは絶対に成功しないことを悟り、すぐにブランドの変更へ。代わりにアイデアとしてでてきたのが”Silver Lining”, “Box + Bow ” “Red Envelope”の3つであった。最終的にはこれに落ち着いた。
皆さんロゴについてどう思われますか。Brand IdentityはHip Tiffany, Multicultural, Progressive。 (アジアでは赤い封筒に贈り物を入れる習慣があるらしいですが、どこの国でしょうか。。)ブランドストラテジー_d0092324_12301326.jpg
自分が起業し、成功も失敗もし、アントレプレナーの側面からブランドに助言ができるGalloway教授には将来起業するときには是非相談したい相手の1人です。私がとったSternの授業の中でベスト3に入る授業です。(K.O)
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# by nyustern | 2007-04-10 12:23 | 授業
2007年 03月 25日

Japan Trekがワールドビジネスサテライトで放送されました

3月15日(木)放送のTV東京ワールドビジネスサテライトにおいてJBAが企画したJapan Trekが放送されました。
Japan Trekがワールドビジネスサテライトで放送されました_d0092324_5293366.jpg

当地での授業・Kick-off meetingから到着・トヨタ・ソニー訪問、Alumni partyから温泉まで在校生がどのように興味をもっているか、どのようにTrekを経験していたかをお伝えすることが出来たかと思います。
Japan Trekがワールドビジネスサテライトで放送されました_d0092324_531497.jpg

ニューヨーク・日本に渡ってご取材いただいたTV東京の皆様、ご協力いただいたStern教授陣、トヨタ・ソニー・メリルリンチ証券・日銀の皆様、この場を借りまして御礼申し上げます。在校生にとって本当にいい経験になり、少しでも日本のビジネスの素晴らしさを伝えられたと思います。ありがとうございました。

(K.O)

# by nyustern | 2007-03-25 05:32 | 課外イベント
2007年 03月 11日

Stern Japan Trek がテレビ放送されます!

Stern Japan Trekが3月10日に来日しました。
キャンパスでの準備の様子、授業の様子、ダモドラン教授インタビューなどが取材されました。今後Sony/Toyotaなどの企業訪問が取材される予定です。
TV東京ワールドビジネスサテライトの3月15日放送分の中で放映される予定です。(他の予定次第では変更の可能性があります。) Sternの活動や在校生の思いが垣間見れると思いますので、是非ご覧になってください。(K.O)

Stern Japan Trek がテレビ放送されます!_d0092324_13124428.jpg

(昨年のJapan Trek トヨタ訪問より)

# by nyustern | 2007-03-11 13:13
2007年 03月 11日

Itoen (伊藤園) Presentation

2月23日(金)Itoen(伊藤園)North America Inc.の本庄社長とJeff Sleeper副社長にSternにお越しいただき、在校生と伊藤園の米国でのマーケティング戦略について伺いました。Itoen (伊藤園) Presentation_d0092324_12514429.jpg
まずは本庄社長より日本での伊藤園の概略についてご説明がありました。伊藤園は本庄社長の御父様である本庄正則氏が1966年に創業したのが始まり。もともと日産のセールスマンであった本庄正則氏は、脱サラをして一般家庭からのオーダー販売をする会社を設立。そのときに一番売れて、一番利益率が高かったお茶を本業にしようと伊藤園という茶園を買収(当時は商号がないとお茶の製造・販売はできなかった)したとのこと。その後、日中国交正常化の流れで中国からウーロン茶を購買。なかなか裁けなかったため、缶入りにしたり、ピンクレディーを使って宣伝をしたりした。その後、ウーロン茶を裁くためにサントリーに依頼したのがサントリー烏龍茶の始まりらしい。興味深い話です。その後、伊藤園はおーいお茶ブランドをもって缶入り飲料では第二位のシェア(缶入り飲料第一位は日本コカ・コーラのジョージア)を築き上げ、日本茶葉生産の約1/3を伊藤園が占めるまでになっている。一部大手飲料メーカーにも実は伊藤園がお茶を供給しているというのはおもしろい。本庄氏は南カリフォルニア大学のMBAを卒業。同級生だったJeff Sleeperさんを誘い、伊藤園に戻った。その後、2001年に米国でお茶の販売事業を開始し、02年には販売を開始した。やはり、一番苦労したのはお茶の効能を伝えること。最初にバイヤーにのでもらって“まずい、なんだこれは?”と言われるのを聞いて本庄さんは逆にこれは売れると確信したとのこと。戦略としてはホールフーズ(http://www.wholefoodsmarket.com/)やワイルドオーツ(http://www.wildoats.com/u/home/)など米国のハイエンドスーパーを攻め、そこからダウンワードに流れていくという狙いだ。(奇しくもつい先日両者は合併を発表)最初は日本でもみられるおーいお茶のパッケージで売っていたが、やはりそれではなんの飲料だかわからない場合が多く、売れなかった。そこで考えられたのがTeas’ Teaブランド。Jeff氏が“Teaの中の本物Tea”という意味で名づけたとのこと。紅茶と混同されないかとの質問には無糖茶というカテゴリーで考えているので問題はないとのこと。またお茶文化を伝えることが重要ということで、NewYork Upper Eastに茶葉や茶器を売るお店を開設した。お店では茶葉をブレンドしたり、テイスティングすることができる。Jeff副社長がアメリカ人、特にニューヨーカーは“これは日本のモノ!”と押し付けるよりも、すこし日本のテイストをほんのりだしつつ、しずかに控えめに売り込むことがポイントとといっていたコメントが興味深い。ただもう少し日本と一見してわかる商品を売りたいという思いから、今回発売のSENCHA ShotItoen (伊藤園) Presentation_d0092324_12384639.jpg(写真右http://www.itoen.com/sencha/)では、ご覧になってわかるように“日本緑茶”という文字を挿入した。Teas’ TeaItoen (伊藤園) Presentation_d0092324_12392743.jpg (写真左 http://www.itoen.com/tea/)のパッケージと比較すると面白いかと思います。
 伊藤園のお茶がウォルマートやターゲットなどのアメリカ一番のSuperstoreにも並ぶ日が遠くないと思われます。また米国を襲っている深刻な肥満、糖尿病の低年齢化なども追い風になっている。今後、二つ課題があると思われる。ひとつは昨年300%の伸びを見せている伊藤園の躍進をみて、コカ・コーラやペプシ、日本の競合がどのように対抗するかということ。すでに日本のブランドとしては訴えに成功している伊藤園として、さらに都市部だけではなくて、地方まで浸透できるブランドとして、感覚の違うアメリカ人、アメリカ国内の移民の知覚にどのように訴えかけていくことが出来るのか。また二つ目としてはつかみかけたハイエンドの顧客に対して、ウォルマートやターゲットに進出したときにどのようにリテンションをかけるのか?ということが考えられると思う。本庄社長のお茶にかける信念も成功の鍵であったと思うが、個人的にはJeff副社長の役割も非常に大きかったと思われる。MBAをもち、日本文化に精通、日本語を話し、そしてアメリカ人へのマーケティングも熟知している。我々日本人MBA生も卒業後、日本において逆の立場で活躍できることを確信しました。本庄社長・Jeff副社長、貴重なお話をありがとうございました。次回はTea TastingをSternにて開催したいと思っています。(K.O)
Itoen (伊藤園) Presentation_d0092324_12541914.jpg

# by nyustern | 2007-03-11 12:39 | 課外イベント